【新日鐵住金株式会社の場合】 ~Mediasiteで企業のグローバル化に対応~

国内、海外の全事務所にインターネットで情報配信

日本を代表する製鐵会社・新日鐵住金株式会社は、国際競争の激化に伴い、海外への進出を加速させるなど、グローバル化に力を入れている企業。メディアサイトの「Mediasite ML Recorder」を導入し、メディアサイトの配信サーバーを使ってインターネット経由で全国各地の社員、海外の駐在員や合弁会社の社員にトップメッセージやイベント情報等を配信しています。

新日鐵住金株式会社 業務プロセス改革推進部 吉留 徹氏

新日鐵住金株式会社
業務プロセス改革推進部
吉留 徹氏

高額な初期投資をせず、メディアサイトの配信サーバーを利用

新日鐵住金は、国内に16ヵ所の製造所を有し、製造部門だけで約2万5,000人の従業員を抱えている製鐵業界の国内トップ企業。本社のほか札幌から博多まで支店があり、富津、波崎、尼崎には研究開発部門が置かれています。エンジニアリング事業、都市開発事業、化学事業、システムソリューション事業、新素材開発事業など、多岐にわたる事業を展開する一方、海外に18の海外事務所、54の現地法人を設置し、国際的なグローバル企業として躍進しています。
すでにグローバル化を進めていた新日本製鐵時代に問題になったのが、トップメッセージをどうやって全ての社員にタイムリーに伝えるかということ。国内の各拠点はイントラネットでつながっていましたが、海外はそういったネットワークが確立されていませんでした。経営トップのメッセージを全世界の拠点に対しどうやったら迅速に配信できるか、この課題に取り組むことになったのが、一般企業の情報システム部門に当たる業務プロセス改革推進部です。海外拠点はイントラネットが確立していないため、配信方法・システムは、インターネットを使ったものしか選択肢はありません。さまざまなシステムを比較検討した結果、2007年に導入を決めたのがメディアサイトの「Mediasite ML Recorder」です。
「IT技術の進捗によって、経営トップからダイレクトに会社員に発信するということが可能となり、そのためのツール・システムもいろいろなものが出てきました。費用も様々でした。ただ、ほとんどは自社でサーバーを立て、自社のイントラを使うというシステムあるいはサービスでした。弊社にとって、自社でサーバーを構築するのはリスキーでした。トップメッセージは、せいぜい年に数回です。配信自体、当社にとっては初めての試みなので、配信するコンテンツがどれくらいの量になるのか、どれだけ活用できるのか予想できません。そんなとき、配信機構をサービス契約で利用でき、しかもそのサービスが1年契約でよい、というメディアサイトに出会いました。費用的にもリーズナブルな水準でしたので、メディアサイトを導入することにしました。当時はクラウドという言葉もまだない時代でした」と、当時業務プロセス改革推進部部IT企画室マネージャーを務めていた吉留徹主幹は導入の経緯を語ります。これによって高額な初期投資をせず、メディアサイトの配信サーバーを利用する形で、インターネットを使ったトップメッセージやイベント情報、教育・研修情報のオンデマンド配信、ライブ配信をスタートさせました。
メディアサイトの社内発展に際して、苦労したのは意外なことでした。「社内のデスクトップパソコンのほとんどは、音声ケーブルを外して音が出ないようにしていました。そこで、イヤホンをノートブック用のものとデスクトップ用のものを二種類準備し、社員全員に配布しました。まさかこんなことがネックになるとは想像もしませんでした」ということです。

ポータルサイトからインターネット経由でアクセス

2012年10月に新日本製鐵と住友金属が合併し、新たに新日鐵住金が発足しました。その際、さまざまなシステムが統合されましたが、住友金属はライブ配信を行っていなかったことから、そのままメディアサイトを継続利用することとなりました。
「社内で持っている他のシステムは、どう連携させるかとか、どちらのソフトを使うのかということで、ひとつのシステムに統合されるまでに時間とお金がすごく掛かっています。外部のサービスを使っているお陰で、10ヵ所の製造所が16ヵ所に増えても、10月1日からまったく問題なく配信できました」
現在、メディアサイトを使ってオンデマンド配信を行っているコンテンツは、トップメッセージ、イベント情報、教育・研修情報の3種類。トップメッセージは、年頭挨拶、入社式での挨拶、株主総会での話、IR説明会での話、外部で行う講演会など社長や副社長の話が2ヵ月に1回のペースで配信されています。
イベント情報は、現場の自主改善を各製鐵所の代表が競う「JK大会」、現場のスキルを競い合う「技能トライアスロン」のほか、記念行事、オリンピックの壮行会といった全体的な行事を配信。これによって、社員の一体感を醸成することに寄与しています。教育・研修としては、IT部門研修、最新技術動向の説明会、外部専門家の講演会、業務報告書等が配信されています。「本社の人はIT部門研修などを直接聞くことができますが、製鐵所の人は聞くチャンスがありませんので、そういったものも収録して製鐵所のシステム部門に配信しています」と吉留主幹は説明します。
このうち、「JK大会」、「技能トライアスロン」の表彰式、IT部門研修、業務報告会についてはライブ配信も行っています。国内の場合は、パソコンを立ち上げると自動的にポータルサイトにアクセスします。そこに貼られているバナーをクリックすると、インターネット経由でメディアサイトの配信サーバーにつながり、配信サービスが受けられるようになっています。
一方、海外の駐在員や合弁会社の社員、国内の関係会社は、新日鐵住金のポータルサイトにアクセスすることができません。このため、コンテンツのURLをメールで送って、インターネットでアクセスして見てもらっています。
「メディアサイトを導入する前は、広報がトップメッセージをDVDにして海外に送っていました。送るまで1ヵ月以上掛かっていましたが、現地ですぐに動画配信を見ることができますので、海外の人たちから喜ばれているという声が届いています」と、吉留主幹は海外事業所の反応に満足している様子です。

年間契約で「Mediasite Event Service」を活用

メディアサイトの「Mediasite ML Recorder」は、カメラと機械をついないでボタンを押すだけという簡単な操作で、誰でも収録できることから、当初は自分たちで収録する予定だったそうです。しかし、蓋を開けてみると、その作業を専門に行うスタッフがいません。そこで活用することになったのが、メディアサイトの「Mediasite Event Service」です。
「収録のサポート費用は考えていなかったのですが、みんな他に本職があり、収録に手が回らないことがわかりました。途中からメディアサイトに全面的にお願いしたほうがよいという話になり、年間契約して電話1本で収録に来てもらう体制にしました。今、社外で行われる行事の収録はメディアサイトにお願いしています。これによって回り始めたのが実態です」と、吉留主幹は語ります。
また、収録したコンテンツをそのまま流しても、全てを見てもらうのは難しいものです。コンテンツを見やすくするため、1つのコンテンツを5分~10分程度に分割して、目次をつけて配信しています。
「どういう話が出てくるのか、どこが面白いのかがわからないと、なかなかコンテンツを見てもらえませんし、ほとんどの人間が途中で離脱してしまいます。しかし、30分、1時間のコンテンツをコマ切れにして、目次を入れるには、結構時間が掛かります。これも何分何秒のところで切ってほしいと指示して、メディアサイトにお願いしています」とのこと。内部のスタッフを増員して対応するのではなく、必要なときに「Mediasite Event Service」を活用することによって、結果的にコスト削減につなげています。
「会社の中で生成されているファイル容量は、急速に増加しています。これは画像や動画の取り扱いが飛躍的に増加しているためです。また、製鐵所等には、過去の動画資産が大量に存在します。新たなフローと過去のストック。これらの動画情報を社内でどのように共有し、そして次世代に継承していくのか、問題意識としてすごくあります」と吉留主幹は語り、過去に蓄積された動画資産の有効活用を検討していきたい考えです。

合併後もJK全国大会をライブ中継

新日鐵住金では、現場の改善活動としてJK活動(自主改善活動の略)を積極的に行っています。その成果は、毎年1回、各製鐵所の発表会で披露されますが、旧新日鐵は毎年9月に東京で、旧住友金属は毎年6月に各製鐵所の持ち回りで、各製鐵所の代表者が発表を行うJK全国大会を開催してきました。
旧新日鐵は、メディアサイトを導入した2007年から、このJK全国大会のライブ配信を行ってきました。「現場の方は、本社で直接見ることができませんので、ライブ配信することにしました。良い活動を横に展開してもらうことがその目的です。他の製鐵所の発表も見てほしいのですが、自分のところの発表を見る傾向が強く、それで盛り上がっているようです」と、技術統括部技術統括室の水谷泰上席主幹はライブ配信を導入した経緯とその成果を説明します。もちろん、JK全国大会の模様をいつでも見られるようにオンデマンド配信やDVDの配布も行っています。

新日鐵住金株式会社 技術統括部 水谷 泰氏

新日鐵住金株式会社
技術統括部
水谷 泰氏

2012年10月に新日鐵住金が発足し、2013年9月には統合後第1回目のJK全国大会が開催されます。統合によって主な製鐵所の数は16となり、操業・整備系の社員は2万人に増えています。自主改善活動のチーム数は約4,000チーム。各製鐵所の発表会の結果、推薦された44チームの中から、本社で選考した16チームが出場の機会を得ます。
「内容がバラエティーに富むような形で全国大会の参加チームを選考しています。発表される内容は、生産量や生産性などですでに効果が挙がった事例です。最近は、技術伝承の事例や安全に関するものも増えてきました」とのことです。
オンデマンド配信で過去のJK全国大会の発表を見ることはできますが、現在のところ見たいものを瞬時に検索できる形にはなっていません。「見たい発表を自由に取り出せるようになれば価値が上がりますので、データベース化なども検討していきたいと考えています」ということで、JK全国大会の成果を活用しやすい形にすることも検討しています。

中期経営計画の発表を日本語版と英語版で動画配信

これまで新日鐵住金では、四半期ごとのIR説明会は、収録はするものの配信は一切行ってきませんでしたが、2013年3月13日のIR説明会では、友野宏社長が統合後初めて中期経営計画を発表することになり、その動画配信を実行しています。
「今回の統合は市場参加者、お客様を含めて非常に関心が高く、我々としてもどこまで発信すべきか思案していたところでした。今回、統合会社として初めて中期経営計画を発表することになり、社長の友野がスピーカーを務めることになりました。フェアディスクロージャーという観点から、どういう思いでこういう計画を作ったか、実際に社長の肉声で聞いていただきたいということで、メディアサイトを利用した配信に踏み切りました」と、財務部IR室の倉田章代さんは動画配信を行うことになった理由を説明します。
ただし、内容が中期経営戦略という重要なものであり、社内チェックが必要という判断から、ライブ配信ではなくオンデマンド配信を選択。また、海外からの関心も高いことから、日本語版だけでなく英語版も用意しました。「すごく対応が早く、アップされた動画の動作環境も良くて、非常に良いコンテンツができたと思っています。こういう形を定期的にやっていければと思っています」と倉田さんはメディアサイトをさらに活用していきたい考えです。

新日鐵住金株式会社 財務部 IR室 倉田 章代氏

新日鐵住金株式会社
財務部 IR室 
倉田 章代氏

今回のIR説明会は、ホームページのトップ画面に載せ、誰でもアクセスできるようになっています。この結果、オンデマンド配信へのアクセス数は1万件を超えるという実績を得ています。そのうち約6割を占めるのが社内のイントラからのアクセスで、統合後の経営方針に対する社員の関心の高さがうかがえます。
「一社員が社長のメッセージを肉声で聞く機会はあまりありませんから、社内の反響が大きかったというのも事実です。グローバル展開が大きく進み、海外拠点やジョイントベンチャーも増えていますので、社長のメッセージを全世界に発信することは、グループの求心力という意味でも有効なのではないかと思っています」と、倉田さんは対外的なフェアディスクロージャーという面だけではなく、社内的にも動画発信が重要であることを強調します。

トップメッセージで社長の肉声を動画配信

メディアサイトをさまざまな形でインナーコミュニケーションに活用しているのが広報部門です。その内容は、社内ポータルサイトでの初年のトップメッセージや入社式の模様、所属選手のオリンピック出場の壮行会などイベント動画配信、工場案内ビデオの動画配信など多岐にわたります。
「これだけ大きな会社ですから、各拠点の社員は他拠点で行われていることを直接見ることはなかなかできません。だから、さまざまな機会を使って社内のコミュニケーションを深めたいという気持ちがあります」と、総務部広報センターの各務美奈子主幹は社内のイベントなどを極力発信するよう努めていることを強調します。また会社のグローバル発展に合わせて、2013の経営トップの年頭挨拶は、日本語で配信するだけでなく、英語の字幕を入れて海外拠点向けに発信したといういことです。合わせて、広報部門は他の部門が行う行事の動画配信を代行するという役割も担っています。オリンピック出場選手の壮行会、支援するサッカーJ1・鹿島アントラーズやバレーボールVプレミアリーグ・堺ブレイザーズとの交流会といった行事は、その企画自体を広報が担当しているわけではありませんが、動画配信には広報が携わっています。

新日鐵住金株式会社 総務部広報センター主幹 各務 美奈子氏

新日鐵住金株式会社
総務部広報センター主幹
各務 美奈子氏

「社内ポータルサイトの主管部門は総務部ですから、動画配信を広報が行うという決まりはありません。必要と思った部署が自分で考えることになっているのですが、みんな広報に相談に来ます。逆にイベントの情報が入ってきたときに、私たちのほうから映像を撮って配信しませんかと提案することもあります」と各務主幹。広報の担当者が全社に動画配信したほうがよいと判断したものは、担当部門の承諾を得た上で動画配信をしています。また、メディアサイトを使って東京ビッグサイトのエコプロダクト展に出展した自社ブースの映像を社内配信することも試みました。「他の展示会で一から練り直すよりも、こういうコンテンツがあるということを社員に知らせておいたほうが使い勝手がいいと思って配信することにしました」と、各務主幹はその理由を説明します。

 

「社内ポータルをやっていて思うのですが、どんどん新しい情報を配信しないと陳腐化してしまい、みんなが興味をもって見てくれなくなります。広報だけでは、そこまでは手が回らないのが現状です。今はメディアサイトのスタッフがすぐに対応してくれるのでありがたいですね。一番いいのはフットワークの軽さです。我々が自分で準備から配信までやろうと思うと結構大掛かりになりますが、メディアサイトにお願いすると、手馴れているのでパッと来て、サッと撮影・編集して配信準備をしてくれます。それと、URLさえあれば環境を考えずにアップできることも利点です。当社のように製鐵所、海外拠点によってインフラの整い方に差がある会社には、本当に適したシステムだと思います」と、メディアサイトのサービスにも満足の様子です。
今後は「海外拠点にももっと情報を配信していきたいですね。年頭挨拶で初めて英訳の字幕をつけて配信してみて、できるということがわかりましたので、こういう形で海外で見てもらうのがいいのではないかと思います。社内報の英語版を作るのは相当な労力が必要ですので、トップメッセージだけでも英訳・配信できればいいなと思います」と、社内コミュニケーションをさらに充実させていきたい考えです。